独身の私がホームステイを受け入れてみた!【連載70回目】

◆今までの「あらすじ」

独身女性である筆者が、日本ホストファミリー養成協会の「ホストファミリー養成講座」の内容を活用しながら語学学校のホームステイを受け入れる。

今まで受け入れた留学生は、食事制限のあるフィンランド人女性Aino(アイノ)、スイス人男性のNathanael(ナサナエル)とオランダ人男性のNeils(ニルス)、日系ブラジル人女性のBruna(ブルーナ)と脚が不自由なフィンランド人女性Miisa(ミイサ)。

連載当初は1人受け入れて終わる予定だったが、実際にホームステイを受け入れてみると面白いことや想定外のことなどが色々と起き、ホストファミリーが楽しくなってくる。

 

◆やっぱり日本はすごい!

ホームステイを受け入れると、ちょっとしたことがきっかけで「やっぱり日本はすごい!」と思う場面に遭遇します。

今回は、私達にとっては当たり前すぎて別に何とも思っていなかったことが実はすごいことである、という話をしたいと思います。

今回のこれは、ぜひともホームステイを受け入れたらマネしてみてください。最低でもフィンランド人とブラジル人には大いに喜ばれること間違い無いです。

 

◆ある日の夕食のこと

フィンランド人Miisa(ミイサ)と日系ブラジル人Bruna(ブルーナ)は、2人だけの時はずっと喋っていますが、食事の時は全くと言って良いほど喋りません

まぁ、それは仕方がないかもしれません。

Miisaに私が「Yes / No」で答えられる質問をしても、それ以外の答(で私が知りたい内容を含まないもの)をズラズラ喋ります。Brunaに私が「どうして?」ですとか「どう思う?」といった質問をすると、全く答えられません。

 

そんな2人と珍しく会話が弾んだことがあります。

今まで食べたことがない!」(おや、そうですか)
実物を見たことがない!」(自分の国にないの?)
「ブラジルでは超・高級食材!」(え、本当?)
「フィンランドでも超・高級食材」(本当に?)
「ブラジルでは超・大金持ちしか食べられない」(冗談でしょ?)
「フィンランドでも金持ちしか食べない」(おや、まぁ!)

どうやって食べるの?」(こうやって食べるの)
「上手に取れないんだけれど」(ここの部分を箸でこすると取れるよ)
「あ、取れた!」(おー)

2人とも、ものすごく興奮していて、とても夢中になっていて、「普段もこんな感じだったら良いのになぁ」と思った次第です。

 

さて、私は何を食卓に出したのでしょうか?

「こんなに大きいんだ」(まぁ、これはそういう種類だから)
「うわぁ、ものすごく美味しい!」(よかった、よかった)
「ほんと美味しい!」(よかった、よかった)
「私の母は1度だけ食べたことがあるけれど大好きと言っていた」(ほぉ)
「これ、大好き」(うん、うん)
「さっきよりは上手に取れた」(お、いいねぇ)

「帰国したら友達に自慢できる」(Facebookに写真でもUPする?)
「友達で食べたことがある人って、いないと思う」(まぁ、ねぇ)

「残ったこれはどうするの?」(あ、普通に燃えるゴミで大丈夫だよ)
「今まで見たことないから捨て方を知らなかった」(そんな言い訳しなくて良いから、誰だって最初は知らないよね)

2人の興奮は続きます。

 

◆2人を興奮させた食べ物とは?

さて、これほど2人が夢中になって食べているこの食べ物は、何でしょう?

私が出したのは「ビノス貝の酒蒸し」でした!

 

ビノス貝を知らない人もいるかもしれないので、少し説明すると…

ビノス貝は北米が原産ですが、1990年代から東京湾や大阪湾でも生息が確認されている外来種の貝です。

まだまだ流通量は少なく、都内のスーパーでは見かけない貝ですが、千葉県にある船橋(東京湾に面している)で潮干狩りをすると、アサリ以上にビノス貝が採れるそうです。

 

ビノス貝の外見は、ハマグリを一回り大きくしたような格好です。食感はアサリよりも弾力があり、カキとは違ったベクトルでジューシーな貝です。

ビノス貝を知ってからは、アサリの酒蒸しよりもビノス貝の酒蒸しの方が私は気に入っています。あとでレシピを紹介しますが、私は千葉に出掛けるついでに、時間が許せば地元ローカルなお魚屋さんでビノス貝を購入します。

 

◆不思議に思ったこと

ともかく2人がビノス貝の酒蒸しを食べながら「超・高級食材」ですとか「大金持ちしか食べることができない」と言い続けるのを聞いていて、私はちょっと不思議に思いました。

そんなに貝は一部の人しか食べることができない食材なのでしょうか?

 

「ボンゴレという、スパゲッティーに貝が入ったのがあるけれど、それは一般的では?」
「確かにボンゴレはあるけれど、普通のスパゲッティーよりも高いから食べない」

「イタリアだとパエリアというピラフのような食べ物にムール貝があるけれど、ムール貝なら食べたことがあるんじゃないの?」
パエリアは知っているけれど、とにかく貝が使われると高いから食べない」

クラム・チャウダーは?」
「名前だけ知っている」
超・高級レストランに行かないと置いていない

 

え、そんなに食べられていないの! という驚きと同時に、別の疑問が浮かびました。

単に高いから食べないだけなのか、そもそも貝が存在しないのかが気になったのです。

 

「日本だと4月の終わりから5月にかけて”潮干狩り”という貝を採るレジャーがあるんだけれど、あなたの国では貝は採れないの?」

ブラジルの海辺には沢山の貝殻があるけれど、それは全て貝殻だけで中身がない
フィンランドでは滅多に貝が採れないから高い」

珍しく会話が成立したのですが…とにかく貝は採れないし高いから食べないようですね。

 

「日本人は、キリストが生まれるよりも前から貝を普通に食べていた」と私は言いました。

「キリストが生まれるより前の人々のゴミ捨て場からは大量にビノス貝の殻が発掘されていて、史跡として扱われている」ということも説明しました。

「京都の街の碁盤目状の道路が6世紀に作られた」という話の時もそうでしたが、今回も2人は日本の歴史に驚いていました。

そりゃぁ、そうですよね、原始人が超高級食材を大量に食べていたんですから。

 

ちょっと話が脱線しますが、千葉市にある「加曽利貝塚博物館」はオススメの観光スポットです。

入場料は無料ですし、竪穴式住居の中には火が焚かれて縄文人の生活を体験できたり、学芸員の方に色々と質問をできたりと、とても有意義に見学ができます。

 

◆日本の自然環境は素晴らしい

ここに書くことは本人たちには話しませんでしたが、改めて私自身が「日本はすごい」と思ったことがあります。

それは自然環境です。

 

中学校の理科の時間に、地層について学びましたが、貝殻が含まれる地層は、そのエリアが汚い水辺だったことを示すと習いました。

「汚い水辺」という表現は、水が澄んでいないことを意味しているのであって、汚染されたという意味ではありません。

多様な生物が生息する条件の整った、豊かな水辺です。

 

繰り返しになりますが、Brunaが「ブラジルの海辺には沢山の貝殻があるけれど、それは全て貝殻だけで中身がない」と言っていました。だから貝は超高級食材なんだ、と。

でも日本ではゴールデンウイークの頃に潮干狩りがメジャーなレジャーとして確立しています。

(私は行ったことがないのでわかりませんが)アメリカのグアムですとか、フィリピンのボラカイですとか、オーストラリアのグレートバリアリーフが広がる海ですとか、地球上に綺麗な海は沢山あります。

でも、そういう綺麗な海では、貝にとっては綺麗すぎて住むことができません

貝が生息するのは意外と難しいようです。貝が生息するのは、良い意味で淀んだ浅瀬です。イメージとしては水田のような浅瀬です。

 

思うに、このように貝が生息することのできる「良い意味で淀んだ浅瀬」というものが世界中では珍しいのではないでしょうか。

というのも、このような「良い意味で淀んだ浅瀬」にはゴミが漂着していたり、あるいは排水が流れ込んでいたりして貝が生息するには難しいと考えられるからです。

特に排水の問題は、重大な環境破壊を招いているでしょう。

 

確かに日本でも過剰な開発や環境破壊が問題になっています。ラムサール条約で保護されている谷津干潟(千葉県船橋にあります!)も、野鳥の数が10分の1に減ったといいます。

それでもまだ諸外国から見たら豊かな自然環境が残っている国として見えるのでしょう。

 

◆豊かな日本の食生活

もう1つ、私が「日本はすごい」と思ったのは、食生活が豊かであることです。

私たち日本人にとっては、貝は別段、ごくごく当たり前の食材です。

 

チェーンの居酒屋さんでも普通にあさりのバター炒めが提供されていたりしますし、それこそファストフードの牛丼屋さんにだって夏場にシジミ汁が売られていたりします。

ちょっと考えてみれば、アサリ、シジミの他にも、ムール貝だって兵庫や大阪のあたりでは採れます。それだけでなく、岩手や広島でカキだって養殖されていますし、北海道ではホタテも取れます(シーズンによってはカキやホタテも居酒屋さんのメニューにありますし)。

カキやホタテといった外国でもお馴染みの貝だけでなく、お刺身ネタのアオヤギや赤貝にホッキ貝ですとか、アワビ、サザエ、ツブ貝なども日本人は普通に食べます。

確かにアワビやサザエはちょっと高級な感じがしますが、それでも普通のスーパーでも取り扱いがありますから「超高級食材」というには庶民的でしょう。それに、ひょっとするとアワビの姿煮はお正月のおせち料理に入っていて毎年食べている人がいるかもしれません。

 

貝を食べたことがない、と言う2人を目の前にして、こんなにも沢山の種類の貝を食べたことがある私は、なんて恵まれているんでしょう。

もちろん貝なんて、わざわざ和食としてアピールされたことがないと思います。でも、貝を通じて日本の豊かな食文化が理解できるのではないでしょうか。

 

実は今までこの連載で「日本はすごい」ということをアピールするのは控えていました。

「日本はすごい」というのは、ややもすると極端な愛国主義ですとか右翼的な思想に勘違いされるかもしれませんし、ひょっとすると自慢・自惚れに過ぎないかもしれないからです。

でも、この貝を通じた日本の環境と食に関する知見は、そういう思想的なものや自己満足ではなく、純粋に「日本はすごい」と言えることだと思います。

 

◆レシピの前に…

私が買ってきたビノス貝は、A4サイズぐらいのトレイに入って売られています。ハマグリよりも少し大きいサイズですので、1パックに10粒前後入っています。

2人が「超・高級食材」「大金持ちしか食べられない」を連発していて申し訳無いのですが…私が千葉に行く用事があれば必ずというほど立ち寄りお魚屋さんでは、これが1パック180円で売られています。

 

このまま2人に「実は私が金持ちでこんなに大量に貝を食べさせてくれる」と思い込ませておくのも悪くはないのですが、私は正直に「この貝、200円でお釣りが来るんだけれど」と言いました。

2人ともビックリ。なんせ2人とも1万円ぐらいすると思っていたんですから!

 

◆ビノス貝の酒蒸し

とにかく、フィンランド人とブラジル人にとって貝は「超」がつく高級食材です。

そこで1パック200円のビノス貝を3回楽しむレシピを紹介したいと思います。

 

まずは「酒蒸し」です。

(1)カレーを作るような大きな鍋にオリーブオイルを適当に入れ、スライスしたニンニクを入れる
(2)弱火でじっくりとニンニクの香りを引き出す
(3)スライスした玉ねぎ1〜2個を入れる
(4)その上に3cm四方程度にカットしたキャベツを大量に、鍋の上部が3cmほど空く程度に入れる
(5)さらにその上に、水洗いしたビノス貝を乗せる
(6)料理酒または日本酒を適当に回し入れて蓋をする
(7)蓋をして5分ほどでビノス貝が開いたら火を止める
(8)ビノス貝だけお皿に盛り付ける

 

ビノス貝は砂出し不要です。よく洗ってそのまま鍋に入れます。

鍋底に直接ビノス貝を置かないことで、やんわりと加熱されるので、柔らかく仕上がります。

 

もしあれば鍋の蓋はガラス製で鍋の中を見ることができるものがオススメです。

中を見ることのできない蓋を使う場合は、玉ねぎやキャベツを多めに入れてビノス貝が開いたときに殻が蓋に当たるようにして、その音で火を止めると便利です。

(3)と(4)の間に、5mmほどの厚さで「C」の字形にスライスしたセロリを入れても美味しいです。

 

ビノス貝だけを取り出したお皿が出てきた時点で外国人には目が飛び出るぐらいビックリされます。

ものすごい「おもてなし」を受けたと感じるかもしれませんが…材料費合計500円弱です。

 

◆ビノス貝の蒸し野菜

1パック200円のビノス貝を3回楽しむ第2弾は「ビノス貝の蒸し野菜」です。

(1)〜(7)は「酒蒸し」と同じ
(8)ビノス貝を取り出した残りをザルでこす
(9)ザルの中身を器に盛り付ける

 

玉ねぎやキャベツの甘みが貝のエキスと合わさって絶品です。

特に調味料は使っていませんが、貝のエキスが程よい塩気を含んでいます。もし必要でしたらお好みで塩や胡椒を混ぜてください。ツナ缶を混ぜても合います。

 

◆ビノス貝のリゾット

1パック200円のビノス貝を3回楽しむシメは「リゾット」です。

(1)〜(8)は「蒸し野菜」と同じ
(9)ザルでこした汁にご飯を適当に入れる
(10)牛乳または豆乳を、(9)の汁の3割程度入れる
(11)フライパンで、刻んだブナシメジと玉ねぎの粗みじん切りを、塩少々を加えて炒める
(12)(11)が半分の量になったら(9)と合わせて中火にかける
(13)汁気がなくなる前に火を止め、塩と胡椒で味を整える

 

使用するご飯は、炊きたてでなくても構いません。

もし面倒でしたら(11)と(12)はスキップしても構いません。また、(10)の後、粉チーズやシチューの素を入れても美味しく仕上がります。

「ビノス貝の酒蒸し」を食べながら「残りでリゾットを作ろうと思う」と言ったら、我が家にホームステイしている2人とも大喜びしていました。

 

◆外国人と食卓を囲もう

ビノス貝のフルコースもできたことですし、グラスにキリッと冷やした白ワインでも注いで、外国人と一緒に食卓を囲んで楽しい会話をしながら贅沢な時間を過ごしませんか。

「How often do you eat shells in your country?(あなたの国では、どれぐらいよく貝を食べるの?)」とでも尋ねれば、きっと会話は弾みます。

「やっぱり日本の自然って素晴らしいなぁ」ですとか「日本の食文化は豊かだなぁ」という具合に、改めて日本について気付くかもしれません。

 

食卓を一緒に囲む外国人がいない方は、ぜひホームステイを受け入れるホストファミリーになりましょう。

日本ホストファミリー養成協会では、ホストファミリーの皆様が安全・安心してホームステイを受け入れられるように、ホストファミリーのための情報を提供しています。

ホストファミリーに興味をお持ちの方は、ぜひお問い合わせください。

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