いよいよ民泊新法(住宅宿泊事業法)スタート、ホストファミリーへの影響は?

いよいよ本日、民泊新法(住宅宿泊事業法)スタート

2018年6月15日の今日、いよいよ民泊新法(住宅宿泊事業法)がスタートしました。

「住宅宿泊事業法」とは、住宅の空き部屋やマンションの一室を利用して観光客・旅行者などに宿泊させるいわゆる「民泊」のルールを定めた法律です。

これまで法整備が整っていませんでしたが、これで一定のルールの下で、民泊が実施されることになります

法律の施行までには右往左往がありました。まだ多くの問題を抱えているのも事実です。しかし、法律施行に関わった多くの人たちの苦労や苦悩があったことを考えると、ここまで辿り着けたことは、1つの成果だったのではないでしょうか。

長期的な視点に立ち、もう一度仕切り直すという意味では、良い機会になったのではないかと感じています。

しかし、営業の届出件数は、全国で約2700件に過ぎず、低調な滑り出しになっているようです。

民泊市場、低調の船出

新法施行、住民不安なお課題

民泊を本格解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)が15日に施行され、営業が始まる。国内ほぼ全ての民泊をサイトで仲介してきた米エアビーアンドビーの掲載数は最盛期に比べ6割少ない約2万5千件。新法での営業届け出も約2700件と低調で、2020年に4千万人をめざす訪日誘客には一時逆風となる。近隣住民の不安払拭を狙う新ルールのもと、民泊は出直しの船出となる。

(2018/6/15 日本経済新聞 朝刊より)

 

 

全国53自治体が上乗せ規制

民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出件数が伸び悩んでいる原因の1つとして、各自治体の上乗せ規制があります。

全国約150自治体のうち、1/3以上となる53もの自治体が、民泊新法(住宅宿泊事業法)の規制よりもさらに厳しい規制を課す条例を制定していると報じられています。

上乗せ規制とは、たとえば営業日数です。民泊新法(住宅宿泊事業法)では、年間「180日」という規制を設けていますが、上乗せ条例によって、「週末に限定」するなど規制しています。また、営業エリアを住居専用地域のみとしたらり、全エリアで規制する動きまであります。

民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行は、民泊の普及促進を目的としていたにも関わらず、逆に民泊の普及促進をストップしてしまったことは、なんとも皮肉な話しです。

民泊、53自治体で追加規制…芦屋市は全域禁止

 住宅の空き部屋などを利用した「民泊」を解禁する住宅宿泊事業法(民泊法)が15日に施行される。民泊のスタートに合わせて、全国で53自治体が独自に条例を制定し、民泊法に上乗せする形で厳しい営業規制を設けることが、読売新聞の調査でわかった。区域を指定して規制する自治体は49自治体に上り、兵庫県の条例に基づき、芦屋市では1年を通じて全域で民泊が禁止となる。

民泊法では、同法が定めるルールに加え、地域の実情に応じて自治体が条例でさらに厳しい規制を設けることができる。今回の調査は、都道府県や政令市など条例の制定権限を持つ自治体のうち、5月15日時点で条例を作る予定がないと答えた50自治体を除く計100自治体を対象に実施した。

(2018年06月15日 読売新聞 記事より)

 

 

ホームステイの受け入れにはどう影響する?

「民泊」と聞くと、誰も住んでいないマンションやアパートの一室、空き家を利用して、外国人観光客・旅行者などに宿泊させることと、世間一般的には考えられています。実際に、民泊に関する報道やニュースをみると、ほとんどのケースがこの民泊です。

しかし、裏にはもう1つの民泊があります。

それは、日本の大学や日本語学校に通う外国人留学生を、自宅で受け入れするホームステイも、この「民泊新法(住宅宿泊事業法)」の規制の影響を大きく受けるのです。

政府や自治体は、いわゆる民泊を規制しようとしたことで、図らずも草の根の国際交流として社会的意義の大きいホームステイまでも規制することになってしまっていることを理解している自治体は多くはありません。

なぜなら、政府や行政が実施している「ホームステイプログラム」や「ワンナイトステイ」なども、規制の対象になる可能性があるからです。

たとえば、民泊を全域で禁止したとされる兵庫県芦屋市は、昨年ホームステイ先を募るホストファミリー募集プログラムを実施ています。こうしたホストファミリー募集プログラムをも自ら規制することにもなってしまうのです。

芦屋市は、2017年5月にアメリカ人留学生のホームステイを受け入れるホストファミリーを募集していました。1泊あたり3千円の謝礼も支払いしています。

(芦屋市のホームページより)

 

 

民泊とホームステイの違いは?

そもそも、「ホームステイ」には明確な定義がありません。

「民泊新法(住宅宿泊事業法)」の中では、「家主同居型(ホームステイ型)」としていますが、旧来からあるホームステイが考慮されていないのです。

厚労省では、「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」で旅館業(民泊)の許可が必要な場合を掲載していますが、先の例の芦屋市のホストファミリープログラも引っかかってきてしまうのです。

厚労省「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」より

Q4 個人が自宅の一部を利用して人を宿泊させる場合は、旅館業法上の許可が必要ですか。

A4 個人が自宅や空き家の一部を利用して行う場合(民泊サービス)であっても、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合(Q1参照)には、旅館業法上の許可が必要です。

Q7 営利を目的としてではなく、人とのコミュニケーションなど交流を目的として宿泊させる場合でも、旅館業法上の許可は必要ですか。

A7 人とのコミュニケーションなど交流を目的とすることだけでは旅館業法の対象外とならないため、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合(Q1参照)には、旅館業法上の許可が必要です。

Q9 「宿泊料」ではなく、例えば「体験料」など別の名目で料金を徴収すれば旅館業法上の許可は不要ですか。

A9 「宿泊料」とは、名目だけではなく、実質的に寝具や部屋の使用料とみなされる、休憩料、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費、室内清掃費などが含まれます。このため、これらの費用を徴収して人を宿泊させる営業を行う場合には、旅館業法上の許可が必要です。

Q10 旅館業法上の許可を受けないで、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」を行った場合はどうなりますか。

A10 旅館業法第10条では、許可を受けないで旅館業を経営した者は、6月以下の懲役又は3万円以下の罰金に処することとされています。

 

厚労省はどう判断している?

それでは、自宅でホームステイを受け入れる場合、厚労省は「(旅館業法上の)民泊」と「旧来のホームステイ」の違いをどう判断しているのでしょうか?

厚労省では、旅館業(民泊)の適用にあたっては、次の4項目を踏まえ判断しているとしています。

重要なのは、下記4項目のいずれか1つでも、旅館業に該当しない項目があれば、旅館業(民泊)には当たらない、としているところです。

つまり、1から3番までの項目で旅館業(民泊)に該当するとなったとしても、4番目の項目で該当しなければ、旅館業(民泊)には該当しないのです。

①宿泊料を徴収

【宿泊料を徴収】 → 旅館業(民泊)、届出必要

•名称にかかわらず、休憩料、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費、室内清掃費など
•時間単位で利用させる場合を含む

【宿泊料を徴収しない】 → 旅館業法適用外、届出必要なし

•食事代、テレビ等の視聴料、体験事業の体験料などは、宿泊料に該当しない。

 

②社会性の有無

【社会性があると判断される例】 → 旅館業(民泊)、届出必要

• 不特定の者を宿泊させる場合
• 広告等により広く一般に募集を行っている場合

【社会性がないと判断される例】 → 旅館業法適用外、届出必要なし

• 日頃から交流のある親戚、知人、友人を泊める場合

 

③継続反復性の有無

【継続反復性があると判断される例】 → 旅館業(民泊)、届出必要

• 宿泊募集を継続的に行っている場合
• 曜日限定、季節営業など、営業日を限定した場合であっても繰り返し行っている場合

【継続反復性がないと判断される例】 → 旅館業法適用外、届出必要なし

• 年1回(2~3日程度)のイベント開催時であって、宿泊施設の不足が見込まれることにより、開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いもの

 

④生活の本拠か否か

【生活の本拠でないと考えられる例】 → 旅館業(民泊)、届出必要

• 使用期間が一ヶ月未満(ウイークリーマンション等)
• 使用期間が一ヶ月以上であっても、部屋の清掃や寝具類の提供等を施設提供者が行う場合(下宿など)

【生活の本拠と考えられる例】 → 旅館業法適用外、届出必要なし

• 使用期間が一ヶ月以上(マンション、アパート、マンスリーマンション、サービスアパートメント等)で、使用者自らの責任で部屋の清掃等を行う場合

厚労省の判断基準には矛盾点が多い

上記4項目によって厚労省は、旅館業(民泊)とホームステイの違いを判断基準にしていますが、ここには矛盾点が多くあります。代表的なものを今回は4つだけ取り上げてみます。

矛盾点1

宿泊料を徴収した時点で、「旅館業(民泊)の適用対象」としていますが、芦屋市の事例のように、行政や大学・日本語学校、斡旋会社から謝礼という形で支払っているケースは多々あります。

そもそも、よほど裕福で余裕のある家庭で無い限りホームステイを無償で受け入れようなどとはできません。また、提供する食事が貧しくなるなどして、ホームステイしてくる人に影響が出ては本末転倒です。

 

矛盾点2

「不特定の者を宿泊される場合」とありますが、そもそも旧来からあるホームステイも「はじめまして」の方を受け入れる場合がほとんどです。旧知の仲の人を受け入れることなどありません。

また、行政や学校などが、インターネットを通じて広くホストファミリーを募集しているのに、ホストファミリ−側が、幅広くホームステイ希望者を募集してはいけないというのはおかしな話しです。

 

矛盾点3

「生活の本拠か否か」が旅館業(民泊)の判断基準となっており、滞在期間を「1ヶ月」を基準としていますが、1ヶ月未満の短期留学プログラムも多くあります。先の芦屋市でも滞在期間は、1ヶ月未満の「3週間」です。

滞在期間によって「旅館業(民泊)」か「ホームステイ」かを判断するのはおかしな話しです。

 

矛盾点4

民泊新法の施行によって、Airbnbは届出が必須となりました。しかし、Airbnbなどのサイトの利用者は、旅行者だけではありません。たとえば1年間の大学留学であっても、Airbnbなどのサイトを通じてホストファミリーを自ら探す外国人は多くいます。

ホストファミリーを探す手段が違うからといって、「旅館業(民泊)」か「ホームステイ」かを判断するのはおかしな話しです。

 

旅館業(民泊)に該当しない可能性の高いケース

上記の他にも矛盾点はたくさんありますが、一度話しを整理すると、大学や日本語学校に通う外国人留学生を、自宅の1室でホームステイとして受け入れる旧来からホストファミリーであっても旅館業(民泊)に該当する可能性があるということなのです。

ですから、当協会では、家主が一緒に生活する「家主同居型」については、そもそも目的も趣旨も違うのですから、一切規制をしないでほしいということを強く訴えているのです。

2018年3月2日「住宅宿泊事業関連条例に関する意見・要望書

一方で、旅館業(民泊)に該当しない可能性の高いケースがあります。たとえ謝礼を頂いたとしても、滞在1ヶ月未満だったとしても、該当しない可能性が高いです。

※判例があるわけではありませんので、あくまでも「可能性が高い」としておきます。

旅館業(民泊)に該当しない可能性の高いケース

・ゲストが1ヶ月以上滞在する ※旅行者であっても

・行政などが行うホストファミリープログラムからの受け入れ ※1ヶ月未満であっても

・ゲストが通う大学や日本語学校から「在学証明書」など、学校に通っていることを証明できる

・ゲストが住民票を届ける

など

 

マンションでも問題なし!

「民泊禁止」としているマンションが多くなっています。また民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出に必要な生類として、「管理組合の同意」を得る資料が求められており、マンションでは民泊はほぼ不可能になっています。

Airbnb上で届出番号の登録が必須となているため、「いわゆる民泊」ではなく、留学生を受け入れする「ホームステイ」を受け入れる場合であっても、Airbnbは使うことができません。(これもおかしな話しですが)

しかし、逆の見方をすると、上記の「旅館業(民泊)に該当しない可能性の高いケース」に該当するようであれば、民泊にはなりません。民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出も必要ないということになります。

これまで通りホームステイの受け入れができるのです。

ですから、マンションにお住まいの方で、「自宅で国際交流したい!」「ホストファミリーをやってみたい!」という方は、行政の行う短期ホームステイや留学生を受け入れするという選択肢もあります。

また、旅行者であっても、1ヶ月以上滞在する人を募集する選択肢を取ると良いでしょう。Airbnb以外にもそうしたホームステイに特化したサイトがあります。

当協会の役割

当協会では、島国日本が手軽にできる草の根の国際交流として「ホームステイ」は、絶対に絶やしてはいけないものだと考えています。また、規制をする必要も規制をするべきでもないと考えています。

それでも、近隣とのトラブルや外国人アレルギーのある人との摩擦もあることでしょう。一定のルールを設けてほしいという声が上がることも当然だと考えています。トラブルが不安な方もいるでしょう。

そのため、交通ルールを守ってみなが安心して道路を車で走れるように、車を運転するには運転免許証の取得や講習受講が必要なのように、ホームステイを安全にするための講習を実施していきたいなと考えています。

そして、ある一定の基準をクリアするホストファミリーには認定証を授与することで、地元の人や近隣も、そして日本を訪れる人にも安心なホームステイ環境を作っていくことが当協会のミッションであると感じている次第です。

当協会では、継続してホストファミリーを募集しております。

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